
- 出版社/メーカー: 梅本合同会社, RS Components
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組み込みに従事するものとして興味があったので調べてみました。 こんな不具合が発生したら卒倒するだろうな。考えただけで恐ろしい。
XENON DEATH FLASH?
Raspberry Pi2にXENON フラッシュなどの強い光を当てるとクラッシュする現象です。
Raspberry Pi 2 フラッシュライトでクラッシュする様子 - YouTube
Raspberry Pi 2 にカメラのフラッシュを当てるとクラッシュする件 - あっきぃ日誌
公式の見解翻訳
拙い英語力ですが、許可を得たので翻訳してみました。ところどころ省略しています。 誤訳があればご指摘願います。
もしRaspberry Pi 2をもってるならおめでとう!優雅な光電効果のデモ機を所有していることを誇りにもっていい!
週末我々はこれまで出会ってきたバグの中でもっとも崇敬すべき(ほれぼれするような)バグに出会った。
Raspberry Piは写真が苦手なんだ!!!
ピーターのバグレポートは、私たちのフォーラムに来た。彼が誇らしげに、新しいラズベリーパイ2を撮影をしていた時、異変を発見した。彼のカメラのフラッシュが光るたびに、Raspberry Piがダウンするという現象だった。
キセノンフラッシュ時の電圧変動
フラッシュを浴びせながらオシロで計測していくといいことが分かった。フラッシュによる永続的な影響を受けないということだった。
より良いニュースはこの現象は極めて特異な状況で起こるということ。つまりは、高輝度、長波長の光(レーザポインタやカメラのキセノンフラッシュ)がプロセッサのコア電源を生成するレギュレータ(U16のシルクがついた、USB電源とHDMIポートの間にあるデバイス)のパニックとコア電圧の降下を引き起こすということです。その他のカメラフラッシュではこの現象は発生しません。 裸のRaspberry Piを太陽の下ピクニックに連れて行くことだってできるし、レイブに連れて行くことだってできる!ただ、アカデミー賞のレッドカーペットには連れて行かないでね!
ちなみにジョンは1800ルーメンのLEDをつけているけど再現はしていません。
問題のICの概要 http://www.onsemi.jp/PowerSolutions/product.do?id=NCP6343
この問題を引き起こす部品のパッケージはWL-CSPです。裸のシリコンダイに半田ボールが取り付けられています。これは同様のパッケージの底面の写真です。丸いのは極小の半田ボールです。
WL-CSPは高密度な電子機器では一般的なパッケージです。この小さいパッケージのおかげでモバイル端末など小さな機器を設計することができます。
何がこの部品の奇妙な振る舞いを引き起こすのか?それは光が金属に当たった時に電子を放射する光電効果です!以下のビデオは光電効果がどのように動作するのかを示している。
The photo-electric effect explained - YouTube
Raspberry Pi2で発生しているのと同様の現象ですが、金属ではなく半導体で発生しています。金属と同様、自由電子が光子によって外に飛び出る。フォトダイオード、太陽電池、フォトトランジスタはこの現象を利用している。ソーラーバッテリーがどう動くかについてもっと学びたいのなら、Physics.orgに良い説明があります。
この光電効果が十分に大きい場合、シリコンジャンクションが不安定になります。 この現象により、ダイオードやトランジスタなどで構成された複雑なシリコンチップ(Raspberry Pi2では電源チップ)に強い光が当たると電源電圧の降下が発生し、Raspberry Pi2はリブートする。
ジョナサンはキセノンフラッシュを浴びたときのU16の挙動を正確に調査している。更に、今後のプロダクトのためにも解決策を模索している。みんながRaspberry Pi2の写真を撮ることが好きなのも知ってるしね。
今回の現象によってRaspberry Pi2がダメージを受けるというエビデンスは発見できてはいませんが、この現象を発生させることはお勧めしません。(クラッシュしたりリブートしたりしているため、SDカードが破損するかもしれません。)
すでに述べましたが、繰り返し言います。明るい日光や室内灯、怒ったサイクリスト(?)のような一般的な光源によって発生しないと言われています。だから心配しないでください!
もし強い光を浴びる環境下でRaspberry Pi2を使用するのであればU16をカバーしてください。(側面も)。現状、簡単な対策はU16にブルタックのような粘着ラバーを部品全体に貼り付けることです。
私はひそかに同様の難解なバグが解決することを願っています。
感想
WL-CSPなんて一般的なパッケージだけど、ONセミコンダクタのこのチップ特有のものなのか、それともパッケージ由来のものかが気になるところ。理屈上、光電効果は避けられないような気もするけど、その辺の耐性とか品質の保証は各半導体メーカどのように考えてるんだろう。これらの記事を見て『当たり前じゃん』って思ってるのか、『まじかよ』って青ざめてるのか、どっちなんだろう。